No.91 (近世ヨーロッパ文化@) :
「近世文化の二重人格とは何か? またそれぞれの代表とは?」
近世ヨーロッパ文化には,ルネサンスから受け継ぐ宮廷文化と、市民社会が栄え
るオランダやイギリス中心の市民文化という二面性があった。宮廷文化としては、
フランスにコルネイユ、ラシーヌ(悲劇)やモリエール(喜劇)に代表される古
典主義演劇が生まれた。また市民文化では、絵画でオランダに名作「夜警」で知
られるレンブラントが現れ、イギリスでは『失楽園』のミルトンらのピューリタ
ン文学や、『ロビンソン=クルーソー』のデフォーと『ガリバー旅行記』のスウ
ィフトに代表される国民文学が生まれた。
<評価の観点>
関心・意欲・態度:
政治史や経済史でも見られた近世の二重性を、文化史の個々の芸術家や作品にお
いて具体的に確認することに、大きな関心を持ちながら学習に臨んでいる。
思考・判断:
中世から近代への移行期に位置する近世期には、中世の「残滓」と近代の「萌芽」
が共存していることを、文化史学習においても的確に判断している。
資料活用の技能・表現:
ルーベンスのバロック絵画とレンブラントの絵画を比較することで、前者の宮廷的
性格と後者の市民的性格の対照的な違いを実感している。
知識・理解:
近世国家の類型を「スペイン・フランス型」と「イギリス・オランダ型」に分けて、
前者では宮廷文化が、後者では市民文化が盛んだったことと、それらの担い手であ
る芸術家の活躍について、基本的な知識を身につけている。